シップリサイクル

安全で環境に優しい船舶のリサイクルは今や必須となっています。日本海洋科学では、シップリサイクル条約策定支援・インド国シップリサイクル施設改善事業、バングラデシュ国シップリサイクルモニタリング調査事業などに参画し、シップリサイクルに関わる施設計画・解体計画・調査のパイオニアとして、リサイクルヤード改善・有害物質一覧表作成支援・適切なヤード選定支援など、様々なサービスを提供しております。

 

国際海事機関(IMO)は「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(シップリサイクル条約)」を策定(*)し、船舶リサイクル施設に対し環境汚染や労働者の健康被害・事故を最小化するための設備及び適正な運営を義務付けています。現在、南西アジアのインド・バングラデシュ・パキスタン及びトルコを中心に船舶のリサイクルが行われており、同条約は2025年6月に発効することが見込まれています。これにより、国際航海を行う船舶においては安全で環境にやさしいリサイクルの実施が必須となります。
日本海洋科学は、シップリサイクル条約策定に係る支援・国土交通省による先進国型シップリサイクル構築事業(室蘭パイロットプロジェクト/2009年)・インド国シップリサイクルヤード改善事業・バングラデシュ国シップリサイクルモニタリング調査、パキスタンでの基礎調査事業に参画するなど、シップリサイクル分野の各種計画・調査のパイオニアとして、シップリサイクル施設計画・シップリサイクル計画作成支援や船舶のリサイクルを計画されているお客様に対しの適切なリサイクルヤード情報提供など、様々なサービスを提供しております。

インド、アラン地区の改善されたシップリサイクル施設

シップリサイクル施設の設計と改善

シップリサイクル施設の新規計画または改善計画において重要なのは環境対策及び労働安全衛生対策であり、シップリサイクル施設においては労働者及び環境に与える悪影響を最小限にするため、シップリサイクルの過程で出てくる有害物質の安全な識別・除去・保管・移送・処理が必要です。また、労働者の安全を確保するため、作業手順の文書化及び手順の遵守が求められます。
日本海洋科学は、シップリサイクル施設に求められる要件を、シップリサイクル条約・適用すべき環境規則などの要求事項とのギャップ分析を現地調査により実施し、シップリサイクル施設設立または改善計画立案を行います。また、お客様の要望により個別のシップリサイクル施設の調査なども実施します。

シップリサイクルでの労働者保護

シップリサイクル施設に求められる環境対策

1. 水質及び土壌汚染を防止するための有害物質の排出を防ぐ対策及びその他の代替可能な構造

  • 施設のドレン(排水)区画
  • 漏えい対策機器の位置
  • 燃料油移送及び抜き取り時に実施する環境保護対策
  • その他油及びビルジの位置
  • 燃料油貯蔵箇所

2. 暴風雨による施設からの汚染物質の流出を防ぐ対策

  • 雨水による汚染発生防止、水受け及び移送システム
  • 浮遊ごみの海洋投棄は防止

シップリサイクル施設に求められる労働安全対策 (安全な船舶の受け入れ・係留・解体)

1. 安全な立入・安全な火気作業

  • 作業員以外の区画への立入り禁止措置(酸素、ガス濃度の管理)
  • 作業区域・区画の適切な照明
  • 閉囲された区画における適切な入口と出口の設定
  • 安全区画立入り時の作業員との通信方法の確保

2. 作業者の設備

  • 洗面設備・シャワー・食事及び娯楽区画・トイレ及び更衣室
  • アスベストを取り扱う作業者に対する区別された専用の更衣室・衛生設備の設置

3. 作業者の安全及び訓練

  • 訓練プログラム作成と訓練の実施
  • 作業者の個人用保護具の確保

リサイクル船のブローキング

シップリサイクル条約は、船主に対し有害物質一覧表(IHM)の作成・備置、さらには施設が作成する船舶リサイクル計画(SRP)への作成協力を求めています。また、安全で環境にやさしい船舶リサイクルの実施と同様に、海運企業の環境戦略(CSR)として売船に係る様々なリスクの低減対応も重要となっています。
日本海洋科学は、シップリサイクル検討開始から完了まで、リサイクル施設の選定・リサイクル施設の環境要求満足のためのヤード調査・技術支援の他、リサイクル実施時の環境要求チェックリストによる駐在モニタリングと報告(SRPチェック+廃棄物管理)も実施し、リサイクル実施における船主利益の確保を支援いたします。

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